SDGsの推進の大運動が起こるなかで全国各地で導入の広がりを見せている「パートナーシップ制度」。同性との婚姻ができない日本において、このパートナーシップ制度のあるなしで住む市町村を選ぶセクシャルマイノリティーやLGBTQsにあたる人がいることも一般化してきましたね。沖縄県では、現時点で那覇市のみが制度を利用できるように整備されています。
実際に利用できる人、利用できるまでの流れについて詳細に調べてみましたので、紹介します。
パートナーシップ制度って何?
パートナーシップ制度とは、「戸籍上の性別が同じである2人」が人生を共にするパートナーとして認識し合っていても法律的に婚姻できない今の日本の現状の中で、都道府県や市町村自治体の単位で「2人がパートナー関係にあることを証明する証明書」を発行する制度です。
法的な効力は有しませんが、不動産や市営住宅の入居申し込み、医療機関での手続き等で活用されることが展望されています。
誰が利用できるの?
沖縄県那覇市のパートナーシップ制度では、登録できる条件として下記をあげています。
1 | 互いを人生のパートナーとし、継続的に共同生活をしている、またはそうしようと約束していること。 |
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2 | 2人の戸籍上の性別が同一であること。 |
3 | 20歳以上であること。 |
4 | 住所につき、下記の1.2.3.のいずれかに該当すること2人とも那覇市民であること。1人が那覇市民、もう1人が市内への転入を予定していること。2人とも市内への転入を予定していること。 |
5 | 下記の1.2.に該当する、1対1の関係にあること配偶者がいないこと。申請者以外の者とのパートナーシップの関係がないこと。 |
2人の戸籍上の性別が同一であること
那覇市のパートナーシップ制度の特徴は、「同性パートナー」との記載ではなく「性別が同一であること」とされていることです。
これは、あくまでも異性間での婚姻制度を利用できない人のための制度・登録であることを前提にしながら、利用する2人の関係を「同性」に限定しないことを表しています。これにより、個人の性自認やアイデンティーを尊重できる制度・文言である、とされています。消極的な選択ではなく積極的な利用をしてほしい、という那覇市としての姿勢の表れを感じますね。
那覇市への転入を予定していれば事前に申請できる
本制度は、2人とも那覇市民であればスムーズに申請を行えますが、どちらか一方、または2人ともが申請時に那覇市民でなくても申請を行える制度になっています。
那覇市への転入・引っ越しのためにパートナーであることの証明書が必要な人への配慮として設定されているようです。申請後、おおよそ3ヶ月以内に那覇市への転入(住民票の移動、必要書類の提出)を前提として申請することになります。
実際に利用するには?
実際の申請の流れ
制度の利用のための申請・登録のために、大きく4つの段階があります。2人も那覇市民の場合は、申請を行った日から約1週間ほどで証明書の交付まで完了するようです。
【2人も那覇市民の場合】 ①申請→②内容確認→③登録→④証明書の交付
申請に必要な書類
- 那覇市パートナーシップ登録申請書
- 住民票抄本(それぞれ各1通)
- 戸籍抄本(それぞれ各1通)
- 本人確認ができるもの(写真付きは1点、写真がないものは2点確認します)
①申請
申請する際には、登録を行う2人がパートナーシップ登録に該当する関係にあることを確認するための簡単なヒアリング(面談)が行われます。
ヒアリングは完全個室でプライバシー保護環境下で行われ、2人が「共同生活」を営んでいることなどについて確認します。申請とヒアリング実施のために、事前に電話予約をおこない、パートナーと2人で来庁する必要があります。
なおこの場合の共同生活とは、「日常の生活において、経済的または物理的、かつ、精神的に、相互に協力し合う2人の者の関係」を指します(要綱第2条第3号)。この場合、同居は必須ではないようです。
②内容確認
申請時に提出した書類をもとに、那覇市のパートナーシップ制度による登録の要件を備えているかを確認してもらいます。
③登録
市長が申請した2人がをパートナーシップの関係にあると認めた場合、那覇市パートナーシップ登録簿に登録します。
④証明書の交付
無事登録を終えると、証明書が交付されます。証明書の交付は登録者1人(又は2人)で行われます。本人確認が必要なので、必ず登録者が受け取りにいきましょう。
パートナーの1人が那覇市在住でない場合は?
パートナーの1人が那覇市在住でない場合でも、①申請〜③登録、④証明書の交付を受けることができます。
ただしこの場合、那覇市長から定められた期間内に那覇市在住でない1人が那覇市に転入(住民票の移動、必要書類の提出)しないと、登録が削除されてしまいます。おおよそ3ヶ月が目安とされるようなので、実際の申請は転居の予定をもとに申請の時期を決めると良いでしょう。④証明書の交付を終えているので、証明書を持って物件探しができますね。
2人とも那覇市在住でない場合は?
パートナー関係にある2人が那覇市への転入(住民票の移動、必要書類の提出)を予定している場合に、申請を行えます。ですが、この場合は①申請、②内容確認までしかできません。那覇市長から定められた期間内に転入(住民票の移動、必要書類の提出)が行われたら、③登録と④証明書の交付を受けることができます。
ですが、①申請を行ったということで、那覇市が申請を受領したことを証明する「申請受付票」を受け取ることができます。これにより、不動産等での説明はパートナーシップ登録証明書に準ずるカタチで行えるようになりますね。物件探しの時点で困難を抱えるような場合は、ぜひ事前に申請してみてください。
沖縄県単位でパートナーシップ制度を利用できるようになってほしい
沖縄県那覇市のパートナーシップ制度について詳細な説明をしました。
今、沖縄県内でのパートナーシップ制度の広がりが期待される状況にあります。沖縄県は地方でありながら家賃が割と高い地域なので、そんな中でも県庁所在地である那覇市に移住してパートナーシップ制度を利用するのは沖縄県民からするととてもハードルの高いことです。
住んでいる場所によって人権やアイデンティティーが尊重されない環境であること自体、非常に悔やまれますよね…。
ぜひ沖縄県全域でのパートナーシップ制度導入を進めてほしいですね。
今回参考にしたページ↓↓↓
那覇市公式ホームページ|パートナーシップ制度https://www.city.naha.okinawa.jp/kurasitetuduki/collabo/dannjyosankaku/seinotayousei/partnershipregistrat.html
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